5分でわかるBCP
1.BCPとは
2.BCPの歴史
3.BCPの策定方法
4.BCPの内容
5.BCPのメリット
6.BCPの今後
1.BCPとは
BCP(事業継続計画)とは、企業が災害・事故等の危機を乗り越え、事業を継続していくために予め策定しておく計画のことです。災害・事故等により受ける被害をできるだけ少なくすることと、被害を受けてもできるだけ早く復旧させることを目的としています。
BCPに良く似たものとして、防災計画が挙げられます。防災計画とBCPは、耐震化や避難訓練などの被害の軽減策をともに含み、防災計画が、災害時にできる限り全ての資産の保全を図るのに対し、BCPでは、事業を継続するために、業務やリソースに優先順位を設け、災害時の限られたコストや資源を一部の業務に集中させることで、事業の停止や、復旧不可能な損害から企業を守ることが焦点となっています。
2.BCPの歴史
BCPはもともと欧米で広く用いられていたリスクマネジメント手法の一つです。2001年の米国同時多発テロ事件の際に、ワールドトレードセンター内の企業は大きなダメージを受け、事業規模の縮小化を余儀なくされました。一方で、メリルリンチなどBCPを策定していた一部の証券会社は予め用意しておいたバックアップオフィスなどを活用し、BCPに基づく迅速なビジネス再開を実現しました。これを契機にBCPが国際的に評価され、世界中から注目されるようになりました。
日本では、2007年に新潟県中越沖地震で自動車部品メーカーのリケンが1週間以上生産停止に陥り、その影響で完成車メーカー全12社の製造が一時休止に追い込まれました。さらにその影響で他の部品メーカーも生産休止となるなど、日本全体の自動車生産に影響を与えました。このことから、サプライチェーン全体でのBCP策定の必要性が認識されるようになりました。
3.BCPの策定方法
各省庁のガイドラインなどでは、BCPを策定する際にまず、地震など1つのリスクに特定して策定することを推奨しています。これは、リスクを1つに特定したほうがより具体的にBCPの目的を捕らえられ、最初のBCP策定に踏み出しやすいためです。これに対し、先に業務の優先順位やボトルネックを特定し、様々なリスクを想定する方法では、最初のBCPが完成するまでの期間や手間が大きくなってしまいますが、より多くのリスクに対応することができるというメリットがあります。本サービスでは、後者の策定方法によるBCP策定を採用しています。
4.策定の内容
BCPの策定に当たり、まず基本方針として策定責任者や策定のメリット、既存の防災計画との関係などを記載します。これにより、BCPの目的が明確になり、全社的な理解を得やすくなります。次に、自社の業務やリソースに対してBIA(ビジネスインパクト分析)を行い、重要業務とボトルネックを特定し、目標復旧時間を決定します。
さらに、自社に起こりうる災害・事故等の危機のシナリオを想定し、ボトルネックにどのような被害が発生するか分析します。ボトルネックを目標復旧時間内に復旧させられるように、事前の被害軽減策や事後の対応策を検討します。最後に被害軽減策や対応策を確実に実施できるように、事前対策の実行計画や対応策のマニュアル等を作成します。
このように、策定されたBCPには、基本方針、重要業務とボトルネック、目標復旧時間、事前対策、事後の対応策、対策の実行計画、非常時マニュアルなどが含まれることになります。なお、BCPは策定しただけでは効果は薄く、BCPに基づく対策や訓練の実施、定期的な見直しを行うことが必要不可欠です。
5.BCPのメリット
BCPを策定しているからといっても、必ずしも事業を継続していけるとは限りません。予想外の規模の災害や、取引先がBCPを策定しておらず、その影響を受けたりすることも考えられます。BCPは、サプライチェーン全体、ひいては市場全体で構築することが求められています。しかし、完璧なBCPでなくても、危機が発生した場合の自社の損失を抑え、事業を継続していける可能性を高めることはできます。また、早期の復旧を実現できれば、顧客の流出によるマーケットシェアの低下や企業評価の低下を防ぐことができます。さらに、競合他社より早く復旧することで、顧客の獲得、マーケットシェアの拡大を狙うこともできます。
災害時だけでなく、平時からBCP策定済み、もしくは策定中の企業であることを顧客や取引先にアピールすれば、競合他社との差別化を図れます。災害に強い企業となって雇用維持、地域防災へ貢献できれば、社会的責任の視点からも評価されます。さらに、災害対策費用の低利融資、保険料の割引といった金融面でのメリットを受けられる場合もあります。
6.BCPの今後
BCPは国際的にはISO(国際標準化機構)における規格化の議論が始まっています。その有力候補は英国規格協会が2007年に公表したBS25999というBCP規格です。BCPがISO化されると、特にBCPを整備することで顧客の信頼が得られるような業界では、BCPに関するISOの取得が進んでいくことが考えられます。その中で、ステータスとしてのBCPではなく、災害時に実効力を伴うBCPの策定を行う必要があると考えられます。
また、新潟県中越沖地震の例で述べたように、1社単独での策定よりも、取引先を含むサプライチェーン全体でBCPを策定する必要があり、欧米では、取引先をBCPの有無で選別したり、取引先にBCPの策定を要求するような動きがみられるようになってきています。BCPのISO化が進めば、日本の企業も海外の取引先からISOの取得を要請されるようになると考えられ、将来的にはさらにこの流れが加速し、国内での取引でBCP策定が条件となっていく可能性が十分にあります。